私たちについて

「暮らしのうつわ」をつくっています。

工房千WOODは、
石川県加賀市にある小さな工房です。

石川の伝統工芸である
山中漆器を支える木地師の技術をベースに、
今のライフスタイルにすっとなじんで、
しっくりと使いやすい
「暮らしのうつわ」をつくっています。


私たちが大切にしていること

うつわは
使う人の暮らしに
寄り添うものであってほしい。

私たちはそう考えています。

うつわの手触りが心を癒し、
やさしい口あたりが
料理の味を引き立てる。

美味しいねと会話が弾み、
また次の一口へ。

そんな情景を思い浮かべながら。

デザインの原点は、
古くから生活の中で使われている
うつわのかたちです。


長く愛されている道具には、
無駄を省いた、
理にかなった
かたちや機能があります。


その用の美の所以は
どこにあるのか。

現代の生活に
寄り添ううつわとは、
どのようなものなのか。

それを丁寧に紐解き、
デザインしていきます。

より長くご愛用いただけるように、
シンプルなデザインの中に込める、
ひと工夫。

木の質感や木目を
楽しんでもらうため、
仕上げはウレタン塗装、
スリ溜漆塗りが中心です。

カシ、ケヤキ、ブナ、
サクラ、カエデ、ナラなど、
さまざまな樹種を使い、
木の個性を
うつわの個性として
うつしとります。

人の繊細な
感覚や感性に寄り添い、
今の暮らしの中で、
使いやすく、
心地よく、
佇まいもきれいなうつわを提案する。

それが
工房千WOODが
もっとも大切にしていることです。

木地のこと

山中漆器は、椀や盆などを
ろくろで挽く挽物技術で
全国一といわれています。
原木を「縦木取り」するのが山中流。

これにより、
歪みやくるいが出ない
繊細な木地を挽くことが
可能になります。

ろくろを回し、
うつわの骨格となる木地をつくるのは、
山中の地で祖父の代から続く
木地師家系の3代目の木地師です。

盛り付けて、手で持って、口に運んで、置く―。

あらゆる「使う」のために
コンマ数ミリの違いを
追求する私たちにとって、
アイデアをかたちにする「見本挽き」は、
重要な工程です。

一度でこれと決まることはなく、
数値化されないニュアンスも
くみ取ってもらいながら試行錯誤を重ね、
求めるかたちを完成させます。

木地師の腕の見せどころは
正確で緻密な仕上げ挽きですが、
数か月かけて材料を乾燥させたり、
ろくろ挽きに使う鉋を自分で鍛造したりと、
挽くに至るまでの仕事は多岐にわたります。

伝統工芸の山中漆器を手がけつつ、
名もなき職人が生み出す
日用品に美を見い出す
「民藝」の精神にも通じている木地師は、
言葉を選びながら 木地師としての矜持、
そしてものづくりに携わる
すべての職人へのリスペクトを語ります。

工房千WOODの木地師が挽き出すのは、
てらいのない表情とかたちですが、
その根底には「この人にしか作れない」
という価値があります。


「下地」「塗り」のこと

うつわのかたちになった白木地は、
山中漆器の塗師のもとへと運ばれます。

「50年近くこの仕事をしていても、
これでいいということはないんです」と、
はにかんだ笑顔を見せる塗師は、
「下地」「塗り」の工程を
一貫して手がけています。

ヘラや刷毛など、
作業に欠かせない道具制作や
手入れにも余念がありません。

下地は白木地の状態を整え、
補強する工程です。

完成してしまえば
見えなくなる 部分もありますが、
丈夫さや佇まいの美しさを左右する
大切な工程です。


まずは木目に生漆を染み込ませて
木地繊維を固めます。

木地の表面の凹凸をならした後、
生漆・砥の粉・地の粉を混ぜたものを
ヘラで塗り重ねて
下地とします。

ふちの部分は
きちっと角を出すのか、
若干丸みを持たせるのか―。


デザインの意図を確認しながら、
繊細な部分にこそ気を配ります。

その後は塗りです。


工房千WOODのうつわは、
木肌を見せるウレタン塗装、
スリ溜漆塗りが中心です。


「木の特徴や性質を
分かっていなければ、
きれいな仕上がりにはなりません」と
塗師は話します。


下地の段階での木の美しさを
損なわないための工夫が、
ここで活きてきます。


食卓に届けたいこと

工房千WOODでは、椀、皿、小鉢、
カップ、ぐい飲み、トレイなど
多彩な商品をラインナップしています。


表情は一つひとつ異なりますが、
どれも奇をてらわないベーシックな
デザインで、
陶磁器、ガラス、金属など
多彩なうつわが並ぶ現代の食卓でも
コーディネートに困りません。

料理に合わせて使う楽しみ、
食べる楽しみに出会えます。

食洗器や電子レンジは使えないので、
すこしだけ手間がかかるかもしれません。

それでも、うつわと向き合い、
木の個性を慈しむことで、
暮らしを豊かにする古くて新しい価値が
生まれるのだと、
私たちは信じています。


ディレクター 堂向郁絵
DOUMUKAI, Ikue

3代続く木地師を家業とする夫と結婚。
様々な樹に触れながら家業を手伝うこととなる。自身も様々な器に触れる中で、木のぬくもりを表現した器を造りたいという想いで2020年よりプロダクトを立ち上げる。
名もなき職人たちの技術で造り上げる「日々の暮らしを彩る樹の器」をディレクションしている。

石川県加賀市山中温泉菅谷町へ127番地1
Tel: 0761-76-9313
E-mail: infosenwood-studio.com
URL:
http://senwood-studio.com/
Instagram: senwoodstudio